自白法則と排除法則

 

・自白法則と違法収集証拠排除法則の関係

 

 自白法則(319条1項)は、不任意自白は虚偽のおそれが高く信用性に欠くとして、証拠能力を否定するものである。したがって、類型的にみて虚偽自白を誘発する状況で得られた自白は、同項により証拠能力が否定される。

 他方、違法収集証拠排除法則は、適正手続の要請(憲法31条)、司法の廉潔性、将来の違法捜査抑止の観点から、一定の証拠につきその証拠能力を否定するものであるところ、かかる趣旨は自白においても妥当する。したがって、自白にも違法収集証拠排除法則は適用されるべきである。

 両者の適用のあり方については、319条1項の列挙事由や任意性に疑いのある自白(虚偽自白)については自白法則を検討し、それ以外で証拠能力が問題になる場合について違法収集証拠排除法則を検討すべきである。また、検討順序については、明文の規定のある自白法則からとする。

 

 なお、虚偽排除説(任意性説)を採用すると、不任意自白の派生証拠の証拠能力を否定するにあたり、同説は否定の直接の根拠にならない(その自白の通りに証拠が発見されれば、結果的に自白は真実だったのだから)。そこで、虚偽の自白を誘発するような状況の抑止を徹底すべく、派生証拠も証拠能力を否定すべきという理屈でいく。