別件逮捕・勾留

⑴別件基準説

 別件が逮捕・勾留の要件を満たしていれば適法とする。

 ※逮捕状の請求書には書かれていない捜査官の本件の捜査意図を、令状裁判官が見抜くのは無理だから。

 

⑵本件基準説

 別件が形式的に逮捕・勾留の要件を満たしていても、捜査官が主として本件捜査の意図を有している場合には違法とする。

 ※厳格な身体拘束期間の制限の重視。別件基準説は令状主義の潜脱。

 

⑶実体喪失説(実務?)

 別件を理由とする身体拘束期間が専ら本件の捜査のために利用され、別件逮捕・勾留としての実体を喪失するに至った時点で違法。

   ※本件基準説は、当該身体拘束の初めから違法なのに対して、実体喪失説は、実体を喪失した段階以降の身体拘束が違法となる。実体喪失の検討で、捜査官の意図も考慮要素となるが、証拠から事後的に評価するものであり、本件基準説への批判とは矛盾しない。