在学中受験はするべきか

 実施初年度である令和5年の司法試験では、在学中受験を控えようかと悩む受験生の投稿もよく見られたが、結論からいえば勉強期間が3年目に突入しているのであれば受ける一択であろう。

 

①そもそも受けなければ受かりようがない

 在学中受験での合格率は50%を超えており、十二分に自分にもチャンスがあると思える数字である。名のあるローに通う学生ならば受ける以外の選択肢はない。

 

②失権リスクの低さ

 司法試験は5年で5回の受験制限があり、全て落ちると失権してしまう(いわゆる五振)。しかし、昨今の司法試験は合格率が上昇しており、そこそこのローに入れる学力があるならば、まず五振のリスクはないと考えてよい。したがって、早くから挑戦すべきである。

 

③軌道修正の重要性

 これがもっとも重要な理由である。結論の前提条件として勉強期間が3年目に突入していることをあげた。これはすなわち、一定以上の知識が付いており、単純に論点を知らなさすぎるから司法試験に落ちるということが考えにくくなる時期であると考える(私はローに行っていないが、友人らの話を聞くに、ローの授業や試験で要求される知識理解は司法試験で求められるよりはるかに高度なものを含んでいる。司法試験は受かるだけならば、基本論点を的確に抽出してそれに対応する事実摘示・評価をすれば余裕である。)。言い換えると、落ちる理由が論点抽出能力、事案分析力、答案の書き方によるものと強く推測されるということである。

 答案の書き方等は、一定年数勉強した者が同じように勉強を続けても1年で飛躍的に向上するようなものではない。すなわち、もう1年上積みをしてから臨もうという作戦があまり効果的ではなく、むしろ早くに受験することで自身の書き方等に問題があった場合の軌道修正を早くする必要がある。司法試験とは、最も信頼できる公式の添削だという捉え方もできるのだ。

 落ちるのが怖いから受け控えをするというのは人間として真っ当な心理ではあるが、勇気を出して受けることが早く高い確率での成功に繋がるといえよう。