預金担保貸付の処理

⑴定期預金

 定めた期間が到来するまで、預金を原則として引き出せない(そのかわり少し金利が高い)。

 

⑵定期預金の期限前払戻し

 解約とは、預金契約の解除とそれに伴う弁済であり、預金債務の弁済そのものではない(478条の場面ではなさそう)。

 しかし、定期預金契約の段階で、途中解約の場合の利息等が定められており、期限前払戻しの場合の弁済の内容が決まっている(らしい)。このような場合には、期限前払戻しは全体として478条の弁済とみる。

 

⑶(定期)預金担保貸付

 銀行が、貸付相手の預金債権を担保として(質権?)金銭を貸し付け、期日に返済がない場合には担保を実行して、貸金返還請求権と預金債権で相殺する。

 

case:A銀行は、Bに金銭を貸し付けるにあたり、B名義の定期預金債権を担保に入れた。ところが、当該預金口座は、Cが訳あってBの名前を借りているものであった。期日にBからの弁済がなかった場合、Aは、貸金返還請求権と定期預金債権を相殺できるか?

 

(a)真の債権者と債権の対立

 まず、定期預金の債権者(預金者)は誰であるか?

→出捐者を債権者とする(この場合C)

 よって、AとBに債権の対立がなく、相殺不可。

(b)478条の適用

 Aの相殺に対する期待を保護したい。

 定期預金債権の相殺は、定期預金の期限前払戻しと同視できる。すなわち弁済と同視できる。よって478条類推適用。

 銀行側の善意・無過失の基準時は、預金担保貸付時となる(担保的機能への期待ゆえに貸付を行うから)。